ドラマ『JIN-仁-』と言えば、現代の外科医師が江戸時代にタイムスリップするという、医療ドラマとしては一風変わったストーリーで話題になりましたよね。
その『JIN-仁-』には、度々吉原の遊女たちが登場します。
中でも物語の中で重要な鍵を握る花魁の野風は、中谷美紀さんが演じていましたが本当に綺麗でしたよね。
花魁である野風が作中で「花魁は吉原から出られない」と言っているシーンがありますが、それはなぜなのでしょうか?
そしてその吉原から出られないはずの野風が、物語の後半で吉原を出れたのはなぜなのか、理由が気になります。
ところで皆さんは、花魁と遊女の違いについてはご存知ですか?
どちらも聞いたことがあっても、その違いについて詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
今回は野風が吉原から出れた理由と、野風のような花魁と遊女の違いについて調べてみようと思います!
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JIN-仁-野風が吉原を出れたのはなぜ?
出掛けたいのに、観てしまった😅
野風さん白無垢💕 pic.twitter.com/vqV6WNjwJ8— めーぷる🍁 (@maple0121) May 4, 2020
作中で仁が命を狙われていることを知った野風は、仁を助けたくても自分は吉原から出られない為、仁の助手をしている武家の娘・咲に手紙でその事を伝えます。
なぜ野風が吉原から出られないのかと言うと、吉原の唯一の出入り口である大門は、女性が一度入ったら出られない決まりがあったからです。
入るのは自由なのですが出るには許可がいる為、入る前に予め大門切手と呼ばれる許可証を取っておく必要があったのです。
実際、仁の助手をする為に吉原に行くことになった咲も、大門切手を取っていました。
その後、咲が再び吉原に行く必要があった時、急なことで大門切手を取ることが出来なかったのですが、その際咲は男装をして吉原を出ました。
そのくらい、女性にとって大門を出るということは大事だったのだと伺えますね。
吉原の大門を切手なしでくぐるということは、吉原で遊女として生きていく覚悟が必要だったというわけです。
しかし中には遊郭を抜け出す遊女もいたようで、遊女が抜け出すことを足抜けと言い、足抜けして捕まった遊女には厳しい折檻が待っていました。
因みにこの足抜け、かなり成功率が低く、大抵の遊女は捕まってしまったそうですよ。
そんな囚われの身とも言える遊女たちが、吉原を正式に出る方法が二つあります。
それが、遊女自身が借金を払い終える”年季明け”と、遊女を気に入った男性が遊女の身代金と借金をすべて払い、その遊女を引き取る”身請け”です。
しかしこれが中々大変で、年季が明ける前に病死してしまったり、身請けされるにもお金持ちから気に入られなければならず、一生を吉原で終える遊女も少なくありませんでした。

野風が吉原を出るときに白無垢を着ていたのはなぜ?
ドラマの最終話で、野風が白無垢を着て花魁道中をするシーンがありますが、それは身請け先が決まったからなのでしょうか?
実は野風には身請けの話が来ていたのですが、身請け前の身体検査で仁が胸のしこり、つまり乳がんを見つけた為、身請けの話は破談したんです。
では、なぜ野風が吉原の大門を出れたのかと言うと、仁に乳がんの手術をしてもらう為、仁の元に向かう必要があったからです。
その時野風は、身請けが破談になったにも関わらずなぜか白無垢を着て大門を出ました。
大門を出た野風は、その後仁に「不束者ですが、宜しくお願い致します」と言います。
まるで嫁入りする時に言う台詞みたいですよね。
仁に想いを寄せていた野風ですが、仁の心の中にいるのは自分ではないことをちゃんとわかっていました。
この時、心だけでも仁に嫁ぎたい、という思いだったのではないでしょうか。
だから、野風は敢えて白無垢を着て仁の元へ向かったのだと思います。

白無垢を着る意味
日本の婚礼衣装として、白色のものを身に着けるようになったのは平安時代からです。
白色が選ばれた理由としては、清浄無垢な純潔の姿で嫁ぎ先の家風に染まるように、との意味が込められた為と言われます。
また、神聖な白色をまとうことで邪気を払うという意味もあったそうです。
野風が白無垢をまとった理由も、仁への想いもあったと思いますが、邪気を寄せ付けず病を追いやり、手術が成功するようにという思いも込めてのことなのかも知れません。
JIN-仁-野風のような花魁と遊女の違いは何?
野風さんが素敵すぎで
頭の中の日本語が
花魁言葉になってるで
ありんす…
夕霧さんも素敵だった
はぁ。
仁ロス酷い#JIN_TBS #仁JIN pic.twitter.com/3ymADWfeQQ— Sally 🏠Stay Home (@1221_sally) May 3, 2020
野風は作中で、花魁(おいらん)と呼ばれていますが、よく聞く遊女との違いは一体何なのでしょうか?
実は、花魁と遊女は別ものではなく、遊女の中でも最高位の遊女を花魁と呼ぶようです。
つまり、花魁などの遊郭で身を売って働く女性の総称が、遊女ということになりますね
因みに花魁の由来は、禿などの妹分から「おいらのとこの姐さん」という意味で「おいらん」と呼ばれるようになった説や、キツネやタヌキのように尾で化かす必要がないことから「尾はいらん」という言葉が変化した説など、諸説あります。
JIN-仁-野風がよく口にする女郎とは?
花魁や遊女以外にも、『JIN-仁-』ではよく野風が自分たちのことを”女郎”と表現しています。
この女郎というのも遊女の呼称の一つです。
ただ、女郎は遊女の中でも下の方に位置づけられる為、遊女達は客と話す際自分達を遜った言い方で表す為に、この女郎という表現を用いたのではないでしょうか。
花魁の階級
遊女の中で最高位に位置するのが花魁ですが、この花魁の中にも更に階級が分かれていました。
それが、呼出(よびだし)、昼三(ちゅうさん)、付廻し(つけまわし)の3つの階級です。
花魁の中でも最高位の階級が呼出で、その後に昼三、付廻しと続きます。
野風はこの中でも呼出の花魁で、他の花魁と比べても別格の高級遊女です。
因みに『JIN-仁-』の中でも描かれていますが、店の格子窓から花魁が客を誘うシーンがありますよね。
格子の中で花魁たちが自分を客に見せることを張見世(はりみせ)と言いますが、その張見世に出るのは下の階級の昼三と付廻しの花魁たちでした。
野風のような呼出の花魁を拝むには、実際に店を通してお金を払い呼び出してもらう必要があることから、階級にこの呼出という名前がつけられたそうです。
このように呼び出しを受けた花魁が、豪華に着飾り、大勢の禿や新造を従えて馴染みの客を迎えに行くことを、「花魁道中」と言います。
ここまでの花魁になるには、美しさだけでなく芸事や教養を身につける必要がありました。
教養を身につけた花魁は文字の読み書きやそろばんなども出来た為、商人などに身請けされ、その商人の妻として商売の手伝いをした者もいるそうです。
実際、野風も手術が成功した後、身につけた知識を活かして子供たちを教える塾を開くことになります。

確かに色々なお客さんの話し相手をする時に、教養がある遊女の方が話をしてても面白いし、芸を磨いて相手を楽しませた方が人気も出るよね。
きっと野風も呼出の花魁に登り詰めるまで、ものすごい努力をしたんだろうね!
まとめ
野風さん演じる中谷美紀がとにかく美しすぎてだな… #JIN_仁 pic.twitter.com/nWDNXUFn89
— 牟ゝ々 (@MirinSakeShouyu) May 2, 2020
今回は『JIN-仁-』に登場する吉原の花魁・野風が、なぜ吉原を出れたのか、その理由を考察してみましたがいかがでしたか?
また、花魁と遊女の違いについても調べ、その結果二つは呼び方の違いであるということがわかりました。
そして野風が吉原を出れた理由は、乳がんの手術の為という例外的な理由でしたが、その時なぜ白無垢を着ていたのかを考えると、少し切なくなりますね。
医療シーンももちろん面白いですが、吉原の遊女たちの華やかな暮らしと儚さも描かれているドラマ『JIN-仁-』。
きらびやかで美しい、けれど悲しい宿命を背負った遊女たちに注目して見るのもおすすめのドラマです!
華やかに見えるけど、自分の自由に出来ることなんて少なくて、すごく厳しい世界で生きてたんだね。